「それにしても、変な招待状が届いたものだよねぇ」
己に届いた招待状をヒラヒラと揺らしながらディザイヤーは呟く。
傍らにはアコーディオンを大切そうに抱えるセシルが居る。
届いた不可思議な招待状。そして更に不可思議な今回の参加メンバーに眉を顰める。
何が可笑しいか…。
集合場所と記されていたその場所に赴けば既に揃っているメンバーは、
言葉に例えるなら再参加者とでも言おうか。つまり、新人と言える、
今回からパーティーに参加するらしい人物が見当たらなかったのだ。
それには勿論この場に居合わせている全員が解りきっていた。
だがしかし、
集まっているメンバーは世間では中々人気を得ている人物ばかりで
もしかしたら、この状態はある意味での必然かも知れなかった。
人気のあるメンバー達からのポップンミュージックへの新曲提供にも、
ファンの期待は向いているに違いないのだから。
思考を巡らせていると程なくして送迎バスが登場した。
……なんとも不思議な感じだ。
何故なら今まであの神…MZDはこんな七面倒臭いことをしたことが無かった。
一カ所に集合してからバスで送迎など、一体どうしたのか…
「バスでお迎えなんてあの神もいいトコあんじゃん」
嬉々としてバスに近付いていったのはリュータだ。
彼に続きワラワラと他のメンバー達もバスに近付いていく。
リュータと同じく嬉々としているもの、ディザイヤーの様に怪訝そうにして居るもの、
パーティー自体が億劫なもの…それぞれ感情は様々だ。
「それでは皆さん、バスにご搭乗下さい」
バスの扉が開き中から出てきたのはミシェルだった。
「…あれ、ミシェルさんじゃないですか。」
ポツリとハヤトが言葉を発する。
それに気付いてか気付かずか、ミシェルが口を開く。
「本来、ミミさんとニャミさんのお仕事ではありますが、今回は僕が案内をさせていただきます」
礼儀正しく一礼。
続いて少し脇に反れてミシェルが通路を空けると皆順々にバスに乗り込んでいった。
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バスに揺られてどれぐらい経っただろうか。
小一時間ほど走った頃…
車内では皆思い思い好きなことをして時間を潰していた。
車内の時間は刻々と過ぎていく。
ふと、周りの異変に伊達暁宗が気付く。
『…嫌な臭いがする』
なんとも言えないそれは、今まで嗅いだことのない臭いだった。
妖怪の血が微かに混ざっているから気付いたのかもしれない。臭いは微かな物だった。
隣に座るスマイルは移動に飽きたと大分前から寝てしまっていたので、
後部の座席に座るアッシュに尋ねてみることにした。
後ろを振り返る。
しかし、アッシュも隣に座るユーリに頭を預けるようにして寝ていた。
浮かぶ疑問。
周りを見渡せば寝ているのはスマイルやアッシュだけではなかった。
可笑しい……。
自分以外のものは全て眠っていたのだ。
「おい、スマイル起きろ…なんか…へ………んだ…」
スマイルを起こそうと片手を伸ばしたときだ、
ガンッ
という重い激痛を受けて暁宗は気を失った。
暁宗の後ろには、
硬質な警棒のようなものを持ったミシェルが…
バス内は完全に静まり返った。
それと同じくして、ゆっくりとバスは次元の歪みに吸い込まれていった……。
役者は
揃った
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