「お国の為に……。」

唯々それだけを思い、私は戦い続けて来た

お国の為に
お国の為に
お国の為に……っ!

……それなのに

『屋敷を焼き払え……!』

クソゥ……!
クソックソックソッ……!!!

何て事だっ!
私は、お国の為にっ!
何が間違っていた?何が間違っていたと言うんだっ!私は、正しいっ!!僕は正しかった……!!!

『屋敷を焼き払え……!』

「止めろっ!止めないか、貴様らああぁぁ!」

悲痛な私の叫び声など屋敷の外に聞こえる筈もなく
放たれた炎は、あっという間に燃え広がり
直ぐに私の前まで迫って来た

未だ死ぬ訳には逝かないのにっ!

愚かしい愚民共めっ!貴様等は黙って私の演説を聞いていれば良かったのだっ!
所詮、貴様等はお国の為に炎となる猿なのだっ!誇りに思わないか!
誇りに思え、誇りに思え、誇りに思えええっ!!!

迫る炎、燃え移る、焼ける私の屋敷
−−−私モ、焼ケルノカ?

ク……ククッ……

これから死ぬというのに、漏れるのは笑み
狂ったように笑いながら、私は拡声器を手に取った
キーン……という独特の機械音を響かせながら、私は屋敷の外へと叫ぶ

「愚かな猿共!聴くが良い、私の最期の演説を!!
ひひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!くぅいくぅい…くふふはハハハッ!!!」

炎上する屋敷の中で、
男の演説が始まった。
其れは炎の勢いと呼応する様に次第に激しくなり、
やがて高らかな笑い声とともに朽ちて逝った……。



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お礼小説。獄卒ですね。
如何でしょう?
なんだか演説聴きながら只管ペンを走らせていたわけです。
公式のイメージではなく、当初私がごっくんに持っていたイメージで書かせて頂きました。