甲高い悲鳴が室内へと木霊する。
其れを煩わしそうに見るルシファーの視線に気付き、DTOがミサキの口を片手で覆った。

「………っ!」

くぐもった声を上げて床にミサキは崩れ落ち、漸く室内に充満していた殺気が収まる。
時期を見計らい、今度はミシェルが口を開いた。

「首輪の説明をする手間が省けましたね。いいですかぁ、皆さんの首についている首輪は
 ルシファーさんとヴィルヘルムの魔力で作り出したものです。神様と神様の化身の作った
 首輪ですので先ず外れないと思って下さい。まぁ、外そうと無理に力をかけたらその瞬間
 アリスさんと同じ運命ですから気をつけて下さいねー。この首輪は皆さんの生死の確認を
 したり現在地の確認、あと魔力及び超能力の封印の役目を果たしています。」

相変わらずの場に似合わない平坦な口調で進行を進めて行く。

「では、プリントを配りますので皆さんそれをご覧下さい。」

人数分のプリントが乾いた音を立てて皆に渡っていく。
視線をその用紙に落とすと其れは地図と名簿だった。
名簿は極々普通の名簿だったがしかし、普通の地図とは違い平行に縦と横に線が引いてある。
幾つもの正方形に区切られた地図は廻りに立て列には数字が、横列にはアルファベットが
書かれていた。
そのプリントを見ながらミシェルが其れと同じような図を黒板に書くと中央に×印を書き入れた。

「此れは見て解るように、この島の地図です。この×印のところが現在地ですね。
 此処を出たら皆さん何処へ行ってもらっても構いませんが、午前と午後の零時と六時に
 全島放送をします。この時に志望者と禁止エリアを発表していきます。禁止エリアと言うのは
 皆さんの行動範囲を狭めて戦闘を促進させるためのもので、指定時間までに禁止エリアから
 脱出をしないと…」

ミシェルが少しの間を空けた。

「首輪が爆発します」

爆発という言葉に数人の身体がビクリと跳ねた。
よくよく考えればアリスの首輪は既になくなっていた。
先刻の爆発音は、首輪が爆発したものだったのだ。

「因みにこの建物のエリアは皆さんが出発し終わってから20分後に禁止エリアに鳴ります。
 後、24時間の間死人が出なかった場合、何人生きていようが首輪が爆破しその場でジ・エンド
 になりますのでご注意下さい。説明は以上です。
 それでは、50音順に名前を呼んでいきますから武器をとって建物を出て下さい。
 あ、武器を持って行く場合は貴重品等の荷物は総て此方で没収させていただきます。
 ご自分の荷物を持って行く場合は武器の支給はできませんのでご理解下さい。
 尚、優勝者にはご褒美としルシファーさんがなんでも一つ願いを叶えてくれるそうです。
 皆さん頑張って下さいね。では、先ずアッシュさん出発して下さい。」

名を呼ばれたアッシュは、荷物と引き換えに武器の入ったデイバックを片手に取り、
教室を出て行った。
その後も順々に大体2分程度の間を空けながら名が読み上げられ始めて行く。
デイバックを取ったり、荷物を持ったまま退室して行くもの様々に段々と教室の人数は減っていった。




漸く、皆にこれは現実だと
眼前に突きつけられた


Game start